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2008年2月

絶妙なバランス

 物事を、まじめに考え過ぎても疲れる。

 かと言って、ふざけ過ぎても具合が悪い。

 その絶妙なバランスのところを、僕は探しているような気がする。

 読者の皆さんに読んで頂いている、書き連ねたブログを読み返していると、書いているときはもちろん一生懸命書いているのだけれど、時間が経って見てみると、「よくこんなこと恥ずかしげもなく書いてるなぁ」と、たいがい恥ずかしかったりする。

 しかしながら、日、一日、一日、経てきた時間の中で、たどり着いた恥ずかしさであるならば、それはその恥ずかしさにたどり着くために必要だった道のりであったと言える。

 恥ずかしさにたどり着くために必要だった道のりであったならば、恥ずかしく思う必要はない。

 そこを通ってみたことで、あるいは、そこを通ってみたからこそ、分かったこともある。

 私たちは、毎日、必要な時間を過ごしている。

 そんな風に思う。

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元栓

 マンションの一階でエレベーターを待っていた。十一階に用事があった。

 エレベーターが到着すると、六十代ぐらいのおっちゃんが出てきて、入れ違いに乗り込んだ。

 モモモ、モワ~~~ン・・・・・・。

 あのおっさん、思いっっっっっきり屁のこき逃げして行きよった。

 めっっっっっちゃ!臭かった!

 重量感のある、密度の濃い~~ニオイ!とでも言うのだろうか?

 分厚~~い空気に、全身を包まれた。

 外、寒かったから、ぬくかった。

 久々に息止めた。

 ガス会社の人に、あのおっさんのケツの元栓止めて欲しかった。

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寝ちがい

 寝違えたら、痛い。

 若干、横向きな感じ。

 開き直ってカニ歩きでもしたろか!

 あぁ、人生は前向きな方がいい・・・・・・。

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忍者?

 駅へ向かって歩いていると、少し前方に杖をついたおじいさんが、ゆっくりトボトボと歩いておられた。

 同じく、私の後方から、ウインドブレーカーのすれるシャリシャリとした音が聞こえてきた。「誰か学生さんでも走ってるんやなぁ」なんて思っていると、駅の方から、「お~い!もう電車来んぞ!」と、同じくウインドブレーカーを来た学生さんが、私の後方から来る学生さんを呼んでいた。

 「あ、たぶん俺も乗ろ思てる電車や!」と思い、私も走り始めると、前方で杖をついてゆっくりトボトボと歩いておられたおじいさんまでもが、左手に刀でも持って走っているかのように杖を持ち、しっかりした足取りで走り出した。階段なんて、一つ飛ばしのもうダッシュ!「え、ええっ!」って目を疑うとはこういうことを言うのだろう。私はあっけに取られた。

 何とかギリギリ、学生さんたちも、おじいさんも、私も電車に間に合って、同じ扉のところに乗り込めた。ギュウギュウに混んでいたわけではなかったが、わりと混んでいて、席は空いてなかった。

 おじいさんは、すかさず、杖をついたおじいさんらしい「おじいさん」のアイデンティティをしっかりと取り戻し、「おじいさん」であることに徹し始めた。

 ほどなく、「おじいさん、お席どうぞ!」と、女子大生ぐらいのお嬢さんに席を譲られていた。「おネェちゃん、すまんねぇ。へぇ、おおきに!」と礼を言って、「ヨッコラしょ!」と足腰が弱そうに席に着いた。

 電車に乗り合わせた人々は、この美しい光景に、心を打たれ、お嬢さんは光輝き、また席を譲らなかった自分に恥ずかしさを覚え罪悪感に苛まれている人もいたことだろう。

 でも、私は見てしまった。おじいさんの一つ飛ばしの階段ダッシュを!

 普段は、普通の「おじいさん」に変装している、あれは「忍者」や!

 もし今度、あのおじいさんが、電車で座っている私の目の前に足腰弱そうに立ちやがって、「席譲ってくれオーラ」を出しやがったとしても、私は騙されないぞ!私は堂々と、いびきをかいて、よだれを垂らして寝てるフリをしてやろうかと思っている。

 私は、悪人なのだろうか?

 若者も、疲れているときゃ、疲れとんでっさぁ~。

 

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すれ違いざま

 私たちは、ご近所の人や街で知り合いに会ったりすると、相当うっとおしい間柄でもない限りは挨拶を交わす。

 お互いが、あるいは、どちらかが自転車やバイクなどに乗っていたりなんかすると、すれ違いざまに、「おはようございます!」とか「こんにちは!」とか「こんばんは!」と、一言だけ挨拶を交わすような感じになる。

 しかし、お互いゆっくり歩いているとき、少々離れたところでお互いがお互いを認識し合い対面状態になると、軽く会釈をして、「こんにちは!」とか先に一言かけて、さらに近づいてすれ違いざまに、「今日は寒いですねぇ」とか「今日は暑いですねぇ」とか、何かしら声をかけたりしながら、「そうですねぇ」とか相づちを打ったりして、通り過ぎて行く。

 立ち止まってしゃべる気ならいろいろと話題はつきないだろうけれど、お互いに挨拶だけを交わして通り過ぎて行くとき、「こういうときって、ほんと、天気ぐらいしか話題がないんだなぁ」なんて、ときどき思ったりなんかする。一般的にみんなそうなんだろうけれど、ときどき自分自身で「芸がないなぁ」とか「ボキャブラリーが少ないなぁ」とか「何か他に話題を思いつかんもんかなぁ」と、自分自身が不甲斐なく思えたりする。

 確かに、「今日は寒いですねぇ」を、「今日はかなり寒いですねぇ」とか、「今日はめちゃくちゃ冷えますねぇ」ぐらいのアレンジはするのだけれど、話している内容はやはり「天気」なので、天気がどうのこうのと言っている自分に、ときどき飽きてしまうときがある。

 この状況、この空気間で、確かにお互いに共通している話題と言えば、天気ぐらいのものである。「天気」に飽きたからと言って、歩いていてすれ違いざまに、「おはようございます!今日もアスファルトは硬いですねぇ」とか、「おはようございます!今日もお互い生きてますねぇ」とか、「おはようございます!今日の空気は昨日より2%ほど二酸化炭素の量が多いように思いますねぇ」とか、言葉を交わすのも変な感じだし・・・・・・。

 でも、何か、すれ違いざまの一瞬トークに、もうちょっとバリエーションが欲しいなぁ・・・・・・。

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モーニングサービス

 「いらっしゃいませ!」

 「モーニングサービスお願いします」

 「ありがとうございます!」 

 店員さんは、何やらアンケート用紙みたいなものをお盆の上に置き、メモする準備をし始めた。

 「当店では、他のお店では味わえないモーニングサービスとなっております」

 「はぁ・・・・・・」

 「それで、お客様にお伺いしたいのですが、『モーニング』と申しますと、お客様はどのようなイメージをお持ちでいらっしゃいますでしょうか?」

 「そうですねぇ~。ん~~、僕たちの年代だと、若い頃ヒットした、サビの部分が「・・・・・・モーニン、モーニング、きみの朝だよ、モーニン、モーニング、きみの朝だよ~・・・・・・」っていう岸田敏志の『きみの朝』って曲かな」

 「なるほど・・・・・・」

 「それから、チャゲ&飛鳥の『モーニングムーン』って曲かな」

 「他に、何かございましたら、お願いいたします」

 「そうですね。じゃあ、月並みですけど、やっぱり『モーニング娘』かなぁ」

 「やっぱり、そうですよね」

 「あ、それから、葬式の喪主さんが着る、モーニング・・・・・・なんてね。ハハハハハ」

 「ハハハハハ」

 軽い冗談に、彼女も笑ってくれた。実に愛想のいい女の子だ。当然、また来よう。男はこういうのに弱い・・・・・・。

 「ありがとうございました」

 彼女は僕に丁寧に一礼して厨房へ入って行った。

 しばらくすると、どこかの葬式から抜け出して来たようなモーニングを着た喪主さんが、マイクを持って司会進行し始めた。

 「大変長らくお待たせいたしました。本日、お客様ご希望のモーニングサービス、準備が相整いましてございます。それでは、ハリキッテ、どうぞ!」

 すると、モーニング娘、岸田敏志、チャゲ&飛鳥のライブが繰り広げられた。

 贅沢なライブが一通り終わると、店員さんが笑顔で請求書を持ってきた。明細には、葬式代、モーニング娘・岸田敏志・チャゲ&飛鳥ギャラ、後は機材の搬入費、云々かんぬん細か~~い字で書いてあった。

 さて、支払いは、どうするかなぁ・・・・・。

 贅沢なライブより、トーストとゆでたまごを食べて、ホットコーヒーを飲んで、目の前の空腹を満たしたかったなぁ~・・・・・・。

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似た人

 親、祖父母、兄弟姉妹、親戚でもないのに、自分の身内の人間によく似た人を見かけると、何だか笑ってしまう。

 このまえ電車に乗ったとき、「亡くなったうちのおばあちゃんを、四・五十代のおっさんにしたらこんな感じやろなぁ・・・・・・」って思えるようなおっさんが、向かいの席に座りよった。

 鼻ほじとった。

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バック

 特急や急行などの快速電車に乗って、進行方向を背中にして座ったとき、いわば、猛スピードでバックに進んでいくような感じになる。

 「このスピードで、車の運転でバックなんかしたら、めっちゃ怖いやろなぁ」なんて思いながら、車窓の風景を楽しんだりなんかしている。

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距離

 私たちは、特急や急行などの快速電車に乗り込めたときは、目的地が多少遠くても、各駅停車の電車とは違い、停車駅が少ない分、そんなに遠くは感じない。物理的な距離としては遠いのだけれど、心理的な距離としては、近いところへ行くときと、さほど変わらない。

 しかし、特急や急行などの快速電車に乗り込めて、「発車しま~す!ドア閉まりま~す!」と、ドアが閉まって、「あ~助かった!電車に間に合った!」と、ホッとした瞬間!便意を催してきたときにゃ、目的地どころか、次の停車駅までの、何と遠いこと!遠いこと!物理的な距離も心理的な距離も、一気に遠くなる。

 「顔」なんか出掛かってきたときにゃ、心の中で、「頼む!急いでくれ!」と、腰低く、低姿勢で電車にお願いしながらも、ゴール直前、馬のケツを思いっきり叩くジョッキーのように、電車のケツを叩きたくなる、もう一人の自分もいたりなんかしちゃったりする。

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桃とお尻

 よく私たちは、ほどよい肉厚の、ほどよい形のお尻を桃に例えて、「桃尻」と呼ぶけれど、逆に、桃の世界では、ほどよい肉厚の、ほどよい形の桃をお尻に例えて、「尻桃」なんて、呼び合っているのだろうか?

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さまざまな反応

 渡り鳥なのだろうか、都会の決してキレイとは言えない、近所の池や川に、このまえ鴨の大群が浮かんでいた。「へぇ、こんなとこにも、来ることあるんやなぁ」と、そのとき私はそんな風に鴨の群れをしばし眺めていた。

 私と同じように、たまたま通りがかりに、その鴨の大群を目にして立ち止まっている人たちが結構いた。

 反応もさまざまで、「遠くシベリアから飛んできてお腹も空いてるやろなぁ」とえさをやっている人。むじゃきに「かわいいかわいい」とはしゃぐ子供たち。「アヒルの色つきや!」って言っている人などなど、生き物としての鴨に対して、それぞれにさまざまな反応だった。

 しかし、ちょっと一杯引っ掛けて赤い顔したおっちゃんは、「にぃちゃん、あれ、なべにしたらうまいでぇ!」と、食用にしか見えていなかったらしい。

 となりで聞いていた正義感溢れる小さい男の子は、「おっちゃん!そんなん、かわいそうやん!」とおっちゃんに反論していて、私も「むじゃきだなぁ」なんて見ていたけれど、私たちは、食べてるんですよねぇ。命を。

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一生懸命

 一生懸命、何かに打ち込んでいる人を見ると、つい応援したくなってしまう。そのひたむきな姿勢に、人々は心を動かされる。

 このまえ、車に乗っていて、信号が赤になって、停止線のところで停車したときのこと。

 何気なく後方確認にルームミラーを見てみると、50ccのスクーターに乗ったかわいらしい若い女の子が、私の車の真後ろに停車していた。

 何やら急いでいるらしく、腕時計を見ては、すぐにハンドルのバックミラーの方を向いて、ヘルメットから出ている前髪の乱れを軽く触りながら、メイクのチェックをしていた。前カゴには、誰かにプレゼントするのであろう赤い小さな紙袋がバッグと共に入っていた。おそらくデートなんだろう。

 けっこう私の好きなタイプの女の子だったので、「こんな女の子とデートできる男がうらやましいなぁ・・・・・・」なんて、ルームミラー越しにその女の子を見ていると、右、左と何やら確認していた。「何かあるのかな?」と、私も左右のドアミラーとルームミラーで周辺を確認してみた。別に変わったようなものがあるわけでもなく、他の車やバイクがあるわけでもなく、私の車と、その真後ろにその女の子のバイクが、路地から大通りへ出ようと信号待ちをしている、どこにでもあるような光景だった。

 すると、女の子は、ハンドルのバックミラーにさらに顔を近づけ、両方の鼻の穴を、ムイ!ッて感じで、大きく広げて、左手の人差し指と親指を、左の鼻の穴に突っ込んで、鼻毛を抜き始めた。一回では抜けず、二回、三回とトライしていた。テンポとしては、信号確認!一回トライ!信号確認!一回トライ!・・・・・・みたいな具合で、「もう、信号変わるから、お願い!早く抜けて!早く!」と、まさに必死の様子だった。

 一生懸命、何かに打ち込んでいる人を見ると、つい応援したくなってしまう・・・・・・。

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思い出し笑い

 公衆の面前で、思い出し笑いが加速して止まらなくなると、ほんまに、つらい。ほんまにつらいけど、笑(わろ)てまう。ほんで、また、そんな自分がおかしくて、また、笑(わろ)てまう。

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名称変更

 私が入る直前まで、誰かと誰かがここで長いことしゃべっていたんだろうか?口臭トイレになっとった。

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となりのおっさん

 混んでいる電車の中で、となりのおっさんがあまりにも堂々と、雑誌のグラビアアイドルの水着写真やスポーツ新聞のエロページを見ていたら、ちょっと目のやり場に困ってしまうことがある。

 「このおっさん、こんなに堂々と何を見とんねん!何を!恥ずかしないんか?!恥ずかしく!!」と、同じ男としてちょっと恥ずかしくなったりもする。「こんな風に年はとりたくないなぁ」なんて思ったりなんかしちゃったりもする。

 しかし、「こんな風に年はとりたくないなぁ」なんて思ったりなんかしちゃったりしながらも、ついつい横目でそのページをチラッ!チラッ!と見てしまう自分もいたりする。

 「せやけど、このおっさん何考えとんねん!ほんま、恥じらいっちゅうもんはないんか?恥じらいっちゅうもんは?ほんま信じられへんは!ちょっと非常識と違いますか!?」と言ってやろうかと思うぐらい、再び紳士的な気分になって、「おっさん一体どんな顔しとんねんやろ!」と、ちょっとおっさんの顔を覗いてしまいそうにもなる。

 と、そんなとき、おっさんが次のページをめくろうとしようものなら、「あっあぁ、ちょっと待ってちょっと待ってそのページ・・・・・・」なんて思ったりなんかしちゃったりする自分もいるわけで・・・・・・。

 すると、おっさんがちょっと私の気配を感じて、私の顔を今チラッと見たんちゃうかなぁぐらいのタイミングで、私が見やすいようにちょっと角度をよくしてくれたりなんかする。

 気のええおっちゃんやった。

 お互い、好きでんなぁ・・・・・・。

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冷えっ冷えとぬっくぬく

 寒い日の公衆トイレ。冷えっ冷えに冷えた洋式の便座に座るのもつらいけれど、ぬっくぬくにぬくもった誰かのすぐ後も、ちょとつらい・・・・・・。

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色眼鏡

 彼はかなり酔っていた。今日は相当腹が立ったらしく、やけ酒もやけ酒。家に着いてもボヤキ通しに、ボヤキ通しだった。

 「ちょっと、あなた、しっかりしてよ!もう、こんなに飲んじゃって!」

 彼は女房に抱えられながら、ダイニングのソファーに腰を下ろした。

 「ほんま腹立って!腹立って!しゃ~ないんじゃ!今日は!」

 「シー!!もう、何時だと思ってんのよ!ご近所にご迷惑でしょ!」

 女房はそう言うと、彼にコップ一杯の水を差し出した。するとそのとき、あまりの騒がしさに、幼い息子と娘が眠い目をこすりながら起きて来た。

 「ねぇ、ママー。パパ、どうしたの~?」

 男の子が妹の手を引きながら女房に擦り寄ってきた。

 「ほら、もう!あなた!子供たちも起きてきたじゃない!」

 「子供たちよ、よく見ておけ!これが大人の醜態というものだ!」

 「ちょっと、あなた!」

 「ほんま、わめいたろか!ワーーッ!!オッラーーー!!あのくそボケー!!」

 「もう、いい加減にしてよ!」

 「あのおっさん、アホ過ぎんねん!絶対あのおっさん、スケベで、変態やわ!足の爪切ったときなんか、足の親指の隅っこに詰まってた爪クソ臭うタイプに決まってるわ!」

 「もう、子供たちの前で、何言ってんのよ!恥ずかしい!何があったか知らないけれど、そんな風に人を色眼鏡で見るようなこと、子供たちの前でやめてよ!変なこと覚えちゃったらどうするの!」

 女房の横で子供たちは、既に、駄菓子のおまけに付いていた色眼鏡で彼を見ていたのだった。

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社交辞令

 外出していると、顔見知りの人とすれ違うことがある。お互いに顔が分かって、「あっ、おはようございます!」とか「こんにちは!」とか、スムーズに挨拶できる場合は問題ない。

 しかし、花粉の飛び交う季節や風邪が流行っている時期などは問題だ。こちらは顔丸出しであっても、向こうから迫ってくる相手さんが、サンバイザーや帽子をかぶり、サングラスや色つきレンズの眼鏡をかけ、マスクをしていたり、マフラーで鼻や口を覆っていた日にゃ、困ったもんだ。

 こちらからは相手さんが誰かまったく分かっていないから、すれ違うタイミングで、「こんにちは」とか、挨拶する態勢になっていないから、まさにノーマーク。

 ところが、相手さんはこちらを認識できているものだから、挨拶して下さる態勢になりながら、好意的にこちらへと近づいて来て下さる。

 で、いざ、すれ違うタイミングで、「こんにちは」なんて言われると、「は!?あっ!?こ、こ、こんにちはっっ??」となってしまう。相手さんが、「あ、私が完全防備なもんやから、誰か分からなかったんだわ」と、すぐに気づいて下さる分にはこちらも助かるが、気づいて下さらないと、「何!あの人!挨拶もちゃんとしはれへん!」なんて、かんしゃくを起こされたりする。

 で、とりあえずすれ違いざまに、とっさに「こんにちは!」と言ってみたところで、結局誰か分からぬまま、自転車で走り去って行かれたりなんかする。誰か分からんまま、誰か分からん人にかんしゃく起こされて、おまけに根に持たれてるなんてなったら、ほんま、さっぱり、ワヤクチャやで!

 眼鏡して、

   帽子をかぶって、

    マスクして。

 あんた一体、

   誰やねん。

 ・・・・・・兎角、この世は、生きにくい・・・・・・

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寒い夜

 寒い夜、オシッコも済ませたし、「さぁ、寝よう!」っとふとんにくるまった瞬間、残尿感を催して、「朝まで持たん!」っと、判断される場合、すぐまたトイレに行かなあかんのん、オシッコ出ぇきってへんのんて、じゃまくさいわ~。

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主役と脇役

 普段、クラスや職場、あるいは、あらゆる集まりの場で、主役的に活躍する人と、脇役的に活躍する人がいる。

 しかし、脇役的な人でも、公の場で主役的な扱いを受けるときがある。結婚式は、その最たる場であろう。普段は脇役に徹していても、その日だけは、間違いなく高砂席に座る、高砂親方なのである・・・・・・違うっ違うっ!高砂席に座る、新郎新婦で、主役なのである。

 では、料理ではどうだろう?

 オーソドックスに、大きな皿一枚の上に盛り付けるとしたら、そこには主役級のメインディッシュがエラそうに、で~ん!っと「どうじゃ!」と言わんばかりに真ん中に寝転がり、その横や皿の隅の方に脇役級の添え物が盛り付けられる。ハンバーグとパセリみたいなものである。

 人間の場合、公の場で脇役が主役になる結婚式を紹介したが、料理の場合はないのだろうか?そりゃ、個人的に、自分の家で、それも本当にごく個人の趣味的に、普段の添え物をメインに、普段のメインを添え物に盛り付けさえすれば、何のことはない、できる図柄であるが、私は一度、公の場でそれを見てみたいと思う。

 ハンバーグ定食じゃなくて、パセリ定食!

 パセリが皿の真ん中にメインディッシュとして、山盛り盛り付けられて、添え物にハンバーグがチョロッ!と添えてあるような定食。普段とは、まったく真逆の構図。

 ハンバーグも、普段ずっとパセリに引き立ててもらっているんだから、たまにはパセリの引き立て役に回っても、罰(ばち)は当たるまい。

 社会的な役割として、パセリは引き立て役を担っていたとしても、パセリ自身のアイデンティティとしては、その命の主役であって欲しいと願っている。

 人間もそう。社会的にはどのような役を演じていたとしても、その人の生においては主役であって欲しい。

 私もそんな人生を歩みたい。

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ド忘れ

 「えぇ~っと、あれっ!あれやねんけどなぁ~、あれっ!何やったっけ?えぇ~っと、ほら、こないだ!ほら!何やったっけ~?うわ、ここまで出てんねんけどなぁ~、うわぁ~出てけえへんわ~!あ~気持ち悪うぅ~!」

 こんな具合に、私たちはド忘れすることがある。一人でいるときは、どうにかこうにか自分で解決するしかないが、周りに人がいて、今思い出そうとしている事柄を共有していたり、知っているであろうメンバーであるならば、言いたいことを思い出すためのきっかけやヒントとなるようなキーワードを並べてみて、助けを求めてみたりする。

 ネットや辞書でも、それにまつわるようなある程度のキーワードになるようなきっかけワードがないと、なかなか探せなかったりする。言うならば、曲名やアーティスト名が分からないけれど、CDが欲しくて、CDショップのレジで、店員さんに曲の一部やメロディーを鼻歌で唄って聴いてもらったりするのも、その類かもしれない。

 で、誰かが、「それ、○○ちゃうか~?!」なんて、思い出してくれたときには、本当に、スッキリする。気分的に、雨雲がスッと消えて、スカーッ!と晴れた空のような感じになる。

 「そうそう!それそれ!!それやがな!!ありがと、ありがと~!!」

 私たちは、思い出してくれた相手に感謝をし、「これで今日はスッキリ寝れるわ~!助かった~~!」なんて、しばらくその話題で盛り上がり、ものすごく気分爽快で、家に帰れたりする。

 そして、そのことは解決済みのこととして、家に帰って、ごはんを食べて、テレビを見たり本を読んだりくつろいで、お風呂に入って、スッキリと寝る体勢に入ったりする。

 しかし、そのとき、「あれっ!さっき、思い出そうとしてたこと、アレじゃなくて、コレやった!」と、パッ!と思い出すときがある。

 みんなといたときに、一人が思い出してくれたアレは、自分が思い出したかったコレにものすごく近いことだったので、反射的に、「それそれ!」と飛びついて、解決にまで行ってしまったけれども、「コレだった!」と、思い出してしまったときには、「うわ~・・・・・・」っと、ものすごく何とも言えない気持ちになったりする。

 思い出したことには、スッキリ!なんだけれど、「言いたかったのはコレやねん!」と、さっきのメンバーに伝えたくなってしょうがなくなると、スッキリ寝れるどころか、寝れなくなってしまう。

 電話するにも、もう遅い時間だし、メールを飛ばしても、そのときに、「あ~!はいはい!それが言いたかったんかいな!」と、『理解してもらえた感』をすぐに得れるとは限らない。

 もっと最悪なのは、「あれ何やったかなぁ~?」と、ド忘れしたことを思い出そうとしていて、それをまた誰かに伝えようとしているときに、自らの臨終を迎えてしまったときである。自らが死んでしまったあとに、「あ、せやせや、アレ言おうと思ってたんや!」と思い出しても、生き返れないので、スッキリ!安らかに眠るどころか、おたおた寝てもいられなくなってしまう。

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ごはん粒

 生まれてから死ぬまでの間に、私は一体、何粒のごはん粒を食べるのだろうか?

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アンジェラ・アキさん?

 このまえ、電車に乗って席に座ろうとしたとき、向かいの席に座っていたご夫婦らしきカップルの手元が視界に入った。アンジェラ・アキさんのCDを持っておられた。

 私もアンジェラ・アキさんの圧倒的な歌唱力のある歌声が好きでCDを持っている。それで、「このご夫婦もアンジェラさんのファンなんや」と、親近感を持ち、顔を見たら、アンジェラさんと同じ黒縁の長方形なフレームの眼鏡をご夫婦共に掛けておられた。三十代前半のご夫婦だろうか?

 「うわ、めっちゃファンなんや!」と思いつつ、頭の中で、「アンジェラ・アキ子さんとアンジェラ・アキ男(お)さんやなぁ」なんて、勝手に命名して、勝手に笑いそうになった。

 でも、よくよく考えてみると、アンジェラ・アキさんの「アキ」さんは、苗字なわけで、そうすると、この発想で、このご夫婦の場合だと、「アンジェラ子・アキさんとアンジェラ男(お)・アキさんになるなぁ・・・・・・」なんて、また勝手に命名して、勝手に笑いそうになった。

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物言う居酒屋

 その居酒屋さんは国技館並みの大きさだった。彼らは暗がりの中、行司のカッコをした店員さんに円卓席へと案内され、そこへ腰を下ろした。すると、パッと店内の照明がついた。

 ウオーーー! パチパチパチパチ~~・・・・・・。

 大歓声とともに、大観衆の拍手が店内に響きわたった。

 「なんじゃこりゃ!」

 彼らは驚いた。店内なんてもんじゃない。場内だった。土俵のデザインが施されてある掘りごたつ式の円卓に彼らは座っていたのだ。そして、その円卓を中心に、大観衆が満員御礼に座っていたのだ。まさに、大相撲の土俵の上の気分だった。

 「これはすごい。お相撲さんが相撲を取っているときって、こんな大注目の中、相撲をとっているんだねぇ」

 「そうだねぇ~」

 「その大注目の中、僕らは勝手に飲んで、食べて、しゃべるってわけか?すごい大掛かりな飲み会だよね」

 「そうだよね~」

 彼らは行司のカッコをした店員さんに、それぞれ好きな飲み物、食べ物を注文をした。オーダーはすみやかに通り、飲み物、食べ物がどんどん運ばれて来た。

 大観衆の見守る中、彼らもほろ酔い、飲み会もいろんな話で盛り上がっていた。そのとき、話の流れで、「大阪」のことに話題が及んだ。

 「だけどさぁ、大阪の人って、ほんと、おもしろいよね」

 「そうだよねぇ~」

 みんなでワイワイそんな話をしていると、土俵型掘りごたつ式円卓を囲んで座っている彼らを囲んでいた審判たちから、物言いがついた。ほろ酔いだった彼らは、行司に一旦飲食を遮られ、紋付き袴姿の審判団は円卓を囲んで座っている彼らの後ろに立ち、彼らの頭の上で協議をし始めた。場内も静まり返り、審判団の協議の結果を待つこととなった。

 すると、ほどなく審判団はそれぞれの席に戻り、北のウニ理事長がマイクを握った。

 「ただ今の~、発言について~、ご説明申し上げます!」

 野太い声が場内に響き渡った。

 「ただ今の~、発言の中に、『大阪の人って、ほんと、おもしろいよね』とございまして~、それに同調する『そうだよねぇ~』と言う発言も~、ございました。しかしながら、審判団の中に、『大阪の人の中にも、おもしろくない人、いるよね~』『そうだよねぇ~』という、見解がございまして、協議の結果、『言い直し』とさせて頂きます!」

 北のウニ理事長が、マイクでそう告げると、場内は再び、

 ウオーーー!パチパチパチパチ~~・・・・・・。

 歓声と、拍手に沸きかえった。

 彼らには、酔いのさめるような緊張ムードが高まった。彼らは、「今さら悩んだって仕方がないじゃないか!」と、気持ちを切り替え、思いついた者から発言しようということになった。

 「大阪の人って、おもしろい人が多いよねぇ~」

 一人が口火を切って発言すると、行司が、

 「正解~!正解~~!」

 と、軍配を上げた。続いてもう一人が、

 「大阪の人の中には、おもしろい人が多いけれど、おもしろくない人もやっぱりいるんだろうねぇ~」

 と、発言すると、これまた正解の軍配が上がった。

 そして、この発言のあと、大阪だけに、西の方から、大阪のおもしろくない人たちが、化粧まわしを締めて、ぞくぞくと土俵型掘りごたつ式円卓の周りに土俵入りして来た。

 反省した様子で、肩をうなだれながら土俵入りして来る大阪のおもしろくない人たちは、あとが絶えなかった。

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正座とお通夜・お葬式

 お通夜・お葬式で正座してて、足のしびれが限界で歩かれへんとき、お焼香の順番回ってきたら、苦しいわぁ。

 笑ったらあかんところで、足が笑っとる。

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正座と便意

 正座してて、足のしびれが限界で、歩かれへんとき、催して来たら、冷や汗出るわ。

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仲間ちゃん

 テーブルの上で、ネクタイと最近この部屋の住人に購入されてきたロープが並んでおしゃべりをしていた。

 「ロープくんはいいねぇ」

 「何が?」

 「だっていろんなことに役立てるじゃん!荷物の梱包とか、暑くてドアを開けっ放しにしたいときにドアノブを引っぱったり、物干し竿代わりに洗濯物を干したり、人命救助に役立ったりとかさぁ。大活躍じゃん!」

 「いやいや、そんなことないよ。ネクタイくんだって、ビジネスの場やプライベートな場で、その人の身だしなみや品性の一角を担っているじゃないか」

 「ま、そう言ってもらえると何だかうれしくなっちゃうけどねぇ」

 「そうだよ。逆に、僕たちからしたら、ネクタイくんがうらやましいけどねぇ」

 「そう?」

 「そりゃ、そうさ。僕らロープ集団はがんばってても、あまり目立たないけどさぁ、ネクタイくんはあっちこっち社交的な場を体験できるし、きれいなお姉ちゃんたちから、『あら、すてきなネクタイだこと』なんて、褒められたりもするわけじゃん!お世辞にしろ、社交辞令にしろさぁ」

 「ま、まぁね。でもさぁ、使い古されりゃいろんなところに使われるんだけどさぁ、それまでの用途としては、身だしなみ以外に、奥さんが旦那の浮気に腹を立てて首を絞めるときに役立つか、宴会で酔っ払いのおっさんのはちまきになるぐらいのことだよ」

 「ハハハ。なるほどねぇ」

 ネクタイとロープが談笑していると、その部屋に住み着いている男が帰ってきた。

 「あらあら、おふた方、お揃いで。何やら楽しそうなお話をしていらっしゃったご様子で。僕もお話に入れて下さいよ。仲間なんだから・・・・・・」

 男がそう言うと、ロープはキョトンとした表情で、ネクタイの顔を見た。ネクタイはそ~っとロープの耳元でささやいた。

 「この人も ヒモなんだよ」

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雨の日のお買い物

 雨が降っているので、車で買い物に行こう。

 雨に濡れるのん嫌やし。

 ちょっと待てよ。車も濡れんのん嫌なんちゃうかな?そら、そうやわなぁ。

 車に雨合羽を着せてやろう。

 ちょっと待てよ。車に着せた、その雨合羽も濡れんのん嫌なんちゃうかな?そら、そうやわなぁ。

 車に着せた、その雨合羽の上に、さらに雨合羽を着せてやろう。

 ちょっと待てよ。その二枚目の雨合羽も濡れんのん嫌なんちゃうかな?そら、そうやわなぁ。

 三枚目の雨合羽を着せてやろう。

 ちょっと待てよ。その三枚目の雨合羽も濡れんのん嫌なんちゃうかな?そら、そうやわなぁ。

 四枚目の雨合羽を着せてやろう。

 ちょっと待てよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、とず~~~っと続けていると、重ね重ねた雨合羽が重くなりすぎて、車のボディーはぺっしゃんこ。車軸も折れて、車が動かなくなってしまった。とうとう買い物に行けなくなってしまった。

 すると、雨が上がった。

 よっしゃ! 雨も上がったし、自転車で買い物に行こう!

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電話機

 私たちは、電話を掛けたいタイミングや、電話を掛けなければならないタイミングで電話を掛けている。

 つまり、話をしたいタイミングや、話をしなければならないタイミングで電話を使っているということになる。

 で、電話機自身はというと、私たちの送受信を請け負っている。しゃべってこられたのを、相手に伝え、答えたのをまたもう片方の相手に伝えている。電話機自身にしてみれば、こちらさんのしゃべりをあちらさんに伝えるのに、自分自身つまり電話機自身がしゃべり、そしてまた、あちらさんのしゃべりもこちらさんに伝えるのに、自分自身つまり電話機自身がしゃべりという具合である。同じ母国語でしゃべっている者同士の間でさえ、通訳をしているみたいな役割なのだ。

 電話を掛ける人、またそれに応じる人、その人たちは、「今、しゃべろう!」と思っているから、苦痛ではないだろうけれど、電話機にしてみれば、「今、わし、寝てたいのに~、しゃべらされんのかいなぁ~!」ってときはないのだろうか?あるいは、「さっきやったら、わしも目~パッチリで、何ぼでもしゃべったったのに、そんなときにしゃべりくさらんと、わしが寝入った瞬間に、こいつら、しゃべらしやがるねん!ほんま、かなんわ!」ってときはないのだろうか?

 

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